周一ぶつぶつ

2018.12.25
幼児教育の無償化と教科書を読めない子どもたち

「幼児教育・保育の無償化と教科書を読めない子どもたち」

2019年10月を目途に消費税が10%となり、それにあわせて「幼児教育・保育の無償化」が導入されると報道されています。3・4・5歳の子を持つ保護者は市民税によって決められている基本保育料は実質的に負担がなくなります。しかし給食の費用や教育内容をよりよくするための環境整備や基準以上の保育教諭増員のために必要な費用は特定徴収金としていただくことになりますが、1号児で4~5時間の短時間保育だった方々も、仕事を始めようと考える家庭も多くなることが予想されます。

子どもと過ごす家庭での生活時間があわただしいものになる可能性もあり、一概に喜んでばかりいられないと感じます。といいますのも、乳幼児期は子どもが生活の習慣を学んだり、人間関係の阿吽や言葉のやり取りで語彙を伸ばしたりする時期であることから、家庭生活時間の減少は環境の悪化につながりはしないかと心配になります。また、家庭学習の習慣や宿題勉強も幼児期の生活などによって徐々に身につきます。子どもはひとりで勉強するのは苦手です。好きな人が近くにいることで情緒が安定し、学ぶ意欲も膨らんでくるからなのでしょう。

人工知能の研究者である新井紀子さんの関東圏中高生25000人の調査で、中学生の約4割、高校生の約3割に上る生徒は、その学年の教科書が理解できていない可能性があると報告しています。新井さんは著書で「原因は分からない」と書かれていますが、メディアの氾濫に加えて、家庭での団欒の欠如や、小学校低学年時の学習習慣の未定着が大きく影響しているのではないかと思うのです。

豊中駅周辺は21時くらいになると多くの停車で混雑します。塾から帰ってくる送迎バス待ちの車です。家族でゆっくり夕食を囲んだり談笑したりする時間帯が、小中学生が塾に行く時間帯と重複しているのです。学力は伸び、望む学校に入学できるのかもしれませんが、家庭ではぐくまれる必要がある基礎的なところの欠如は否めません。費用が多くかかる塾ですから貧富の差も気になります。

働く人々の労働問題でもあるのでいっきには解決できるとは思いませんが、無償化と共によく考えておかなければならないことです。子育て中の保護者=両親の働き方改革が、人間の基礎作りに欠くことが出来ない要件なのです。

参考文献:「AI vs 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子著 東洋経済

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会