学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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ファンの方も多いと思いますので申し上げにくいのですが、私はテーマパークが苦手です。日本にディズニーランドができてかなりの時間が経ちますし,USJも堅調なようです。20年以上前、家族にせがまれて春休みにディズニーランドに1度だけ連れて行かれ(?)ました。雨の日でしたが、寒い中何時間も並びました。食べるものも私の好みには合わず、楽しめた記憶はありません。4年ほど前、大学の講座の一環で学生と一緒にUSJにも行きました。今度は楽しもうと心にきめて臨んだのですが、どうしてもそのような気持ちになれないのです。動物園は好きなのに、なぜだろう、好みが違っているのか、爺さんになったからなのか、少々悩みました。
私は中学校から自由学園に入学し寮生活を送りました。木造で冷暖房無完備の原始的な寮でした。冬は中庭にある池が凍り、アイススケートをしました。寝ている間に雪が降ると枕元には隙間から雪が入り込み枕元に積もりました。部屋に干したぬれたタオルも朝になるとカチンコチン。みんなで知恵を絞り、電球とソケット、電線を買ってきて電気をともし。壊れた椅子に布団をかけて電球をつるし、コタツを作って足を入れ温まりました。じっとしていると寒いので、4畳ほどのスペースの上でテニスボールサッカーをしたり、胴馬をしたりして暴れて暖を取りました。盛りきりの飯で腹が減って、減って、身もだえしました。
中学生からYMCAのキャンプに参加し、大学ではボーイスカウトの隊長もして野外活動を堪能しました。隊員12名リーダー3名、米と味噌、塩だけもって1週間海辺でキャンプしたこともあります。水は30分ほどかけて湧き水を採取しに行きます。おかずは近くの池で獲れるシジミと釣った魚、潜って採った貝でした。里に降りた時のみんなの臭かったこと。大笑いのサバイバルキャンプも経験しました。家庭を持ってから、春夏は海に出かけ民宿やキャンプで釣り、貝採り、冬はスキーで雄大な自然に抱かれて遊んでもらいました。おかげさまで、大きな環境の変化、不便や不快、不足にはめっぽう強い適応力を身に付けていると思います。
そんな私がテーマパークに行くとなぜか人の手のひらの上で遊ばされている、規定路線に乗せられている感じがするのです。これは各々の価値観ですから、テーマパークが云々ではないのですが、能動性や野生的なワクワク感が感じられないためだと思います。
母、周子が保護者の方への話でよく使った「皆さん、楽しくしましょう!」という言葉が思い出されます。聞いたとき、変な言葉の使い方をするな~と率直に感じました。「楽しみましょう」じゃないの、と思ったのです。しかし、良く考えてみると、誰かがお膳立てしたあてがいぶちを楽しむのではなく、それぞれが「その場を楽しくしよう」とする能動性を持って集団に関わりましょうと、というメッセージだったのです。そのような親に育てられたからか、既製品で楽しませてもらうよりも、自然の中でみんなが楽しくなるように努力する方が生にあっているのかもしれません。
天寿とはいえ母を失ってみて、しみじみ大切な教えが思い出されます。