学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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10月の言葉
安家周一
7月、8月と2ヶ月続きで、子ども施策を巡る話題を書かせて頂きました。大まかに言うと、現行日本の児童福祉施策は、どちらかというと、親の都合に偏っていて、子どもの側の論理が弱い気がしているのです。OECD諸国では、子どもの保育される時間はだいたい6~7時間位で、日本の現状を話すと「クレイジー!!」と、ひどく驚かれます。この長時間保育の裏返しが、親の働き方になります。日本人はなぜか長時間労働が日常です。これは乳児の保護者も幼児を持つ保護者も同様で、保育所の迎えのために早く退社するのをためらわれる職場も存在します。
このことは、その国民の宗教観や労働観に依拠しているのだと考えています。OECD加盟諸国は欧米キリスト教の国が多く、文化として土曜日は礼拝のため教会に行き、日曜日は安息日とするような歴史を持っています。労働は、神から与えられた「苦役」との考えです。反対に日本では労働は「美徳」であり、「崇高な営み」という文化です。
安部首相は女性の社会進出を促すために、これから5年間で、保育所入所児を4万人増やすと豪語しています。女性が社会で活躍することは私も大賛成です。しかし、このままの労働環境でそれがすすむと、現在の子どもへのひずみが増幅することになり、将来に亘る子どもに育ちにつけを残すことにならないか、不安になります。
現代を生きる大人が、自分たちの働き方を見直し、子どもや家庭を大切にする人間らしい生き方をするために、大胆に働き方を見直す事が必要です。労働法の改正も必須ですが、自分の職場の環境を変えられるのは、その職場で働く人の意識改革が欠かせません。
このたび実施される子育てニーズアンケートでその思いが反映されれば、子どもにとって良質な環境の実現に近づく可能性が広がるという大切な調査なのです。