園の下の力持ち

2025.08.01
休日の過ごし方

先日、

”世界の一流は「休日」に何をしているのか“
越川慎司 著 CROSSMEDIA PUBLISHING

という本を読みました。

主に日本のビジネスパーソンと、Microsoftやメタ、Appleなどの欧米の大企業のビジネスパーソンとの休日に対する姿勢の違いについて書かれている内容でしたが、いくつか自分の休日の過ごし方にも通じる欧米スタイルの話が出ていたので取り上げてみたいと思います。

日本のビジネスパーソンは、とにかくたくさん働いている(働く時間が長い)ことで、一生懸命頑張っていると見なされる傾向があり、どちらかというと成果主義とは呼びにくい社会的背景が続いており、振り返れば毎日クタクタ。そして休みを取るということに対して周囲の目を気にして、なかなか休日を取れない(取らない)傾向があり、やっと取れたお休みも、結局普段より長く“寝だめ”したり、だらだらとYouTubeやNetflixなどを一日中見て過ごして、普段の生活リズムを崩し、結果として月曜日をブルーマンデーとして迎えるという傾向にあると感じます。Panasonicの創業者であり、「経営の神様」といわれた松下幸之助は「一日休養・一日教養」と唱えて、現在の週休二日制を導入・定着させるきっかけを作りましたが、日本ではこれがなかなか浸透していないようです。(業界的には土日両方がおやすみでない場合もあるのが頭の痛いところではあるのですが…)

一方で、欧米の一流企業のビジネスパーソンといえば、まさに松下幸之助が唱えたこの考え方と考えを同じくしながら、休養と教養を週の2日間の休みに上手く充てている傾向が強いようです。
事実、アメリカで働いている時に感じましたが、自分の果たす役割さえ完遂していれば、どんな時間の過ごし方であっても許容される風土がありましたし、それで成果が出ていれば尚更、仕事をしている時間の使い方は誰からも管理されていないという風土がありました。

その根本的な休日に対する考え方の差は、日本では「Rest(休息)」を主眼に置いているのに対して、欧米の一流企業のビジネスパーソンは「Charge(充電)」を主眼に置いているという言葉で言い表せるように思います。疲れを癒すことを目的とするのか、疲れを癒しつつリフレッシュして週明けからの仕事へのパワーをChargeするのか。
そして、上記の言い方では逆に誤解が生まれてしまうので追加で説明するならば、“仕事のために休日を取る”のか“休日のために仕事を頑張る”のかという考え方の違いとしても言い表せるでしょう。

ありがたい経験として、香港とアメリカでの勤務経験があることで、このあたりの休日に対する考え方は、私も同じような感覚があります。ただ、日本でビジネスパーソンをやっていただけでは私自身も上手く獲得できなかったと思います。昼夜を問わず、土日もしっかり働いているような、そんな日本での勤務経験を思い出します。(その姿勢が一定の評価を得ていたことは否定しませんが)

時間というものは有限であり、そして誰にでも等しく与えられているものです。休日の自分の時間をデザインする、短期的・長期的両方の目線で自分の時間を構成するということは、そもそも人生を豊かにする大切なプロセスであると思います。
そして子育て世帯としての立場でも考えてみるならば、8月という、一般的には少し親子の時間が多いひと月、我が子の時間を管理するのも大人である我々です。リビングで日ごろの疲れをダラダラと過ごしてしまうような日ももしかすると必要かもしれませんが、子育て中の大人として、子ども達の成長に繋がるどんな時間を構成して、このひと月を過ごすのか、少し考えてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、この本の中に初めて聞くコトバでしたが、旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクが提唱した心理効果である「ツァイガルニク効果」というものの説明がありました。このツァイガルニク効果とは、意図的に物事を中途半端に終わらせることで、逆に次に取り掛かる際の作業効率を上げる、というものだそうです。人の脳は、未完了な事柄の方が記憶に残りやすい、という現象があるのだとか。
私は性格的にやることが残っていると楽しめない質なので、夏休みの宿題は最初の1週間足らずで(未来の)絵日記まで全て終わらせていましたが、「あと〇〇と〇〇さえ終わらせれば夏休みの宿題が全部終わる!遊べる!」というモチベーションの下、未完了な宿題があることで夏休み冒頭からトップスピードに乗りつつ、全てのタスクを完了して夏休みの残り期間をエンジョイしていた記憶が蘇ります。変な人だと良く言われましたが、今もこのことは変わっていません。

ということで夏休み直前の長女に、
「パパのように、夏休み前半に全部終わらせて後はずっと遊んでいられるのと、夏休みの最後に沢山やらないといけない宿題に追われて「勉強ばかりしているの嫌だ」と、半泣きになりながら夏休みの最後を迎える(ママタイプ)のどっちがいい?」
と聞いてみると、

「パパを見習う」との回答。

親娘で一緒に頑張っていきたいと思います。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会