周一ぶつぶつ

2020.01.30
雪が降らないということは

今年の冬は暖冬で山では雪が降らないと報道されています。寒がりの方々には「いい冬だわ」と感じられるでしょうが、この気候は私たちの生活にどのような影響を及ぼすのかを、考えてみたいと思います。

まず、雪を頼って生業を立てている人がいます。スキー、スノボのスキー場です。西日本のスキー場は、ほとんど雪が降らず、人工降雪機をフル回転させますが、あっという間に溶けてしまいます。事業が行き詰まり経営危機から従業員への給与は無配となります。多くの従業員は、冬以外は地元で農業などを営む農家の方が多いです。冬の現金収入は貴重ですが、苦しくなります。また、地元の土建業者の冬の仕事が雪かきです。自治体では何億円という予算を組んで道路の雪かきをします。年によっては予算が不足するくらいで、土建業者は潤います。しかし、今年は出動があまりなく、収入は減じます。このような人的被害もありますが、冬山に雪が多く降らないと生態系への影響は深刻です。

山に積もった雪は、夏にかけてゆっくりと溶け、大地にしみこみ川に注ぎます。それを利用しているのが農家です。田植え時期には疎水から田に水を引き、田植えが行われます。雪不足は湧き水不足となり、コメ農家にとって大きな影響があり、今年は不作が予想されます。また、雪は暖かくなるにしたがって少しずつ溶けだし大地にしみこみ、川に注ぎます。山からたくさんのミネラル分を含んだ湧水が、川を伝って海に流れ込みます。海では待ってましたとばかりにプランクトンが発生し、魚がそれを旺盛に食べます。漁師の漁獲へとつながり生活は安定し、豊かな食文化が生まれるという循環です。日本の魚がおいしいのは山の恵が豊かだからです。春以降の漁獲量はどうなるのでしょうか。ニシン、イカ、サンマ、マグロなど、暖冬の影響か近年不漁が続いています。するめ業者が倒産するなど悲惨です。

冬物の衣類が売れません。手指を温めるカイロや暖房器具、アカギレで痛い手に巻くカットバン、風邪薬など、生活全般にわたって消費は減少していることでしょう。当然ですが準備したものが売れなければ不景気を招くことになります。

産業革命以来の営みで、石炭、石油などの地下資源をふんだんに使い放題使って文明は発展しました。その挙句残ったのは環境汚染と地球温暖化による自然破壊です。時間を戻すことはできませんが、今を生きる大人がどのような地球を子どもに残すのか真摯に考え行動する必要があります。社会保障や国の借金問題もそうですが、先送りは許されません。きれいなバッジをつけている人を見かけるようになりましたが、バッジをつけるよりも持続可能な社会に変革するためにどのような行動を具体的にするのか、見せつける必要があります。行動あるのみ。

ページの
先頭へ

学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会