周一ぶつぶつ

2020.07.29
コロナ禍における保育と小学校の教育

例年であれば公園のプールでは歓声が響き渡り、子どもたちは虫取り道具をもって駆け回る光景が常態ですが、今年は違います。豊中の公立小学校は7月いっぱい授業ですが、吹田市は7月20日あたりから夏休みです。保護者から聞いた話ですが、吹田市は1年生でも1日6時間授業が週3回、加えて毎日宿題が出されて子どもはへとへと、帰ってきたら抜け殻のようになっているとのことでした。豊中と吹田、どちらも教育委員会が決定し各学校はそれに従っているだけだと思いますが、1年生は特に初めての学校生活で、ある意味担任との信頼関係の構築や楽しさがわからないまま机上の学習義務だけ強いられている様子が感じられ、かわいそうに感じます。

小学校の学習指導要領(法律)は6年間の教える内容が定められています。今年のようにほぼ2か月学校が閉鎖されれば、教師は残った時間に詰め込まなければならい義務感にさいなまれることは想像できますが、このような100年に一度の感染症流行のときは、もう少し柔軟な対応ができないものかと思います。

学校の役割の一つはもちろん日本人として必要な知識技能を習得することです。それ以上に大切なことは、学級運営における当番活動や休み時間の友達とのぶつかり合いによる社会性の育み、様々な不思議さをみんなで考え合うグループ活動や給食を楽しむことなど、生きた学びの機会です。小学校などは、6年間の中で徐々に取り戻せばいいのであって、それくらいの柔軟性は許容されていいと思います。

幸い幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領は同じく法律ですが、いずれも教える内容は決まっていません。したがって、子どもの興味関心から教育課題が構築され、まさしく保育活動は知識を習得する目的ではなく、それぞれの興味関心を突き詰めるための手段なのです。何を獲得しようとするか、獲得したかはそれぞれの子どもによって違っています。各園で発行されるラーニングストーリーやポートフォリオ、記録が子どもによって違うのは、そのためです。

2020年からスタートした小学校の新学習指導要領の前文にこのように記載されています。

1 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

2 創造力を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

(引用;「小学校学習指導要領 新旧比較対照表」 編者:日本教材システム編集部 2017)

と書かれています。机上の学習は主に1の「幅広い知識と教養を身に付ける」ところに位置します。それ以外の2から5までは、まさに自らの興味関心による知りたい気持ちや、グループ活動などによって経験される友達との関係、自然との関り、社会・大人との関りなどから身に付けることです。まさに学習を詰め込むだけの学習では、新しい学習の命題に近づくことはできません。

小学校時代の経験は私たちの明確な記憶として位置づきます。乳幼児期の思い出せない暖かい心もちと小学校以降の様々な記憶を基礎に、その人らしいパーソナリティーは形成されます。笑顔が素敵な人は、きっと楽しい幼少期の経験があったにちがいありません。子どもの幼少期に関わることができる人は、人の一生にコミットメントする覚悟を持つ必要があります。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会