学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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心の交流と価値観の醸成
コロナの自粛で始まった今年度。息が詰まりそうな雰囲気の中での生活を余儀なくされました。全校休校、非常事態宣言で社会活動がある意味停止し、子どもも親も在宅の時間が続きました。普段当たり前に「行ってきます」と出かける人が、いつまでも家にいることで、様々なぶつかり合いやいさかいも起こったことでしょう。正直「しんど!」と感じられた方もおられたと想像します。
長引くにつれて変化が起こった家庭もあったようです。1日3食、家族で食卓を囲む当たり前で当たり前でない日常。子どもと一緒におかずづくりをする、当番を決めての食事作りや片付け、誰の料理が一番おいしかったかコンテストをしていたとも聞きました。ずっと家にいると部屋も汚れます。掃除もみんなでこなす、普段できないところもピカピカにするなど、楽しく良いこともあったなど嬉しくなる話です。
家族でカードゲームにはまる、時間を決めずにみんなでユーチューブや映画を視聴する。こんなことでもない限りできっこないことが実現した家庭などもあって、本当の家族の幸せってこんなんだったんだと気づかされました。
しかし、「子どもの癇癪に頭を悩ましました」「いったん泣きだすと止めどもなく泣いていました」「腹が立って思わず!・・・」など、感情の交流がうまくいかなかった事例もあります。人と人が一緒に生活するっていることは、楽しいこともあれば感情を逆なでされるしんどいことや嫌なこともある、ごく当たり前のことが、コロナで顕在化しました。
小さい子どもが親の周りでマイマイしている時間は人生の中で本当に短く少しだけです。後で振り返ってみると、ほんの少しで、あっという間だったな~~と感慨にふけることしきりです。
幼稚園の創始者と言われるフレーベルは「幼児期は生きるために生きること、内界を外界に表現することを主とする時期であったが、少年時代は外界を内面化すること、物の学習を主とする時期である」という言葉を残しています。
生きるために生きている子どもの期間に、私たちがどのような生き様を見せることができるか、大げさではなく、何を大切に生きるのかの価値観や哲学を感じてもらわなければならないと思います。人はこの地球上で社会を構成し、きれいな空気を吸い生き物の命をいただき、水を飲まなければ生きていくことができない動物です。その時間に何に価値を置き、何を大切にするのかのモデルは、育ての親や直接保育にかかわる大人がモデルとなり、子どもの心の深くに内面化されます。刻々と迫る地球の危機に対応するため、行動を起こす人が育たなければ早晩地球は機能しなくなります。
乳幼児期はそのことを園と保護者で高め合うことのできる唯一の時間だと自覚します。子どもが独り歩きを始める前のほんのヒトトキです。お互いに、丁寧に、私たちの生きている星を大切に生きたいと願います。
参考資料:保育ナビ11月号 フレーベル全集 第2巻 人の教育