周一ぶつぶつ

2021.01.07
幼児期の教育と小学校への接続を考える

小学校以降の学習指導要領は令和3年4月から改定施行されます。これまで4教科の学習に加え、音楽・体育・図工などで学習が組み立てられてきました。知っている大人が知らない子どもたちに知識を教えるという、縦の関係に基づく教授学習型の教育活動です。平成生まれの保護者の皆さんも昭和20年代の学習も、その根本はあまり変化していません。

しかし、ITの進捗や人工知能などの出現によって来るべき社会環境を考えるとき、受動的な授業体制で、知識技能を詰め込むだけでは使い物にならないとの判断から、平成元年以降の学習指導要領では生活科が新設され、高学年では総合が加わり、社会の実生活からの学びを抽出するという、後付けの内容やねらいも試行されました。しかし理念は正しく現場に変化が求められているのですが、以前からの教師と児童が縦の関係で教える教授学習形態からの脱却は困難で、従来通りの教育環境が続いている学級も散見されます。

令和3年4月からの新しい学習指導要領の特徴的なことはこのように整理されています。

  1. 主体的・対話的で深い学びに向けた授業の改善
  2. 幼児期の教育を通して育まれた資質、能力を踏まえて教育活動を実施し、児童が自己発揮しながら学びに向かうことが可能になるように
  3. 幼児期における自発的な活動である遊びを通して育まれてきたことが各教科に円滑に接続されるよう生活科を中心に合科的・関連的で弾力的遊びを通した教育との接続に留意する

能動的な学びや幼児教育との接続が強調されています。しかし全体の学習内容が多く多岐に亘り、教員の負担もピークを迎えていると報道されています。加えて今回、高学年からはプログラミング学習や外国語まで上乗せされ、教師からの悲鳴が聞こえるようです。以前から日本は他の先進国に比べて相対的にIT化が大きく遅れていることも気になります。

学習指導要領の改訂による変化をとらえて、町場の塾はプログラミングだ英語だと消費者を誘います。保護者は遅れないようにと焦りを覚えられることでしょう。ここは立ち止まってよく考えましょう。コンピューターも英語もすべて道具です。人間の頭の中にある様々な経験や体験、喜怒哀楽などの感情の蓄積、家族との暖かい生活様式、仲間との切磋琢磨や冒険などのリアルな遊びや生活が10歳くらいまでにしっかり体や頭にため込まれているからこそ、アウトプットの手法の一つであるプログラムを考え付いたり、人に伝えたいという欲求に支えられた英会話であったりするのです。先取りしてその道具の獲得を焦る必要はないと考えます。

再度強調しますが、新しい学習指導要領の冒頭で掲げられている「主体的で対話的で深い学び」の源泉は、乳幼児期の愛され護られた経験や主体的な生活や遊びが保障されること、仲間との愉快な葛藤なのです。

時代は加速しFASTになっているように大人は感じてしまいますが、子どもは太古の昔からSLOWにしか生きることのできない生き物です。子ども時代はドッグイヤーとも呼ばれゆっくり時間が流れます。大人の1年間はあっという間に過ぎ去りますが、子ども1年は大人の5年間に値するくらい長いのです。

身体を使い手足を使い遊びの没頭する中で、賢い手と器用な頭が育ちますように。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会