周一ぶつぶつ

2024.02.01
コンセプトブックをつくらなければならなくなったわけ

「あけぼの」は1953(S28)年に大阪府から認可を受け、翌1954年にあけぼの幼稚園を開園しました。園長安家周子はじめ、園児は20名余り、スタッフ3人の小さな園でした。徐々に園児も増え相応にスタッフも増えていきます。1975(S50)に豊中市認可あけぼの簡易保育園定員40名を併設し、本格的に幼保連携施設として運営を始めます。園主安家茂美は続いて1976(S51)年に社会福祉法人を設立、豊中ではとても早い民間保育園、定員60名の豊中あけぼの保育園を開園します。ちょうど私が奉職した年です。

続いて1985(S60)年に豊中初の産休明け57日目から預かる乳児保育園を開園しました。20数年間で職員数も飛躍的に増え、スタッフ間のコミュニケーションもままならず、保育理念や子どもに対する保育の実際を伝達することも難しくなる現実に直面します。

昭和63年に創設者の安家茂美が他界し、精神的支柱を失った現実に危機感を感じるようになりました。そうこうしているうちに、幼稚園教育要領の大改訂が訪れ、小学校の教育を下したような一斉教育ではなく、子どもに価値を置いた自由で自律的な教育が提唱されるようになったこともあって、私たちの持っていた価値の転換が求められたのです。

施設を19時に閉めてから集まって、園内の研修を行ったりしましたが、早出の職員や家庭を持つ保育者たちからは不評でした。どのようにすれば、あけぼのの理念を共有し、子ども中心の保育が展開できるのかを悩んだ末、保育/教育の理念を文字で伝えられないかと考えていたところ、浜幼稚園の秦さんや編集者の尾上さんとの出会いもあって「コンセプトをまとめた小冊子」を作ることになりました。

基本的な文章の起草は安家周一が担当し、編集方針、デザインは秦さん、全体編集や印刷などを尾上さんに依頼し、『「あけぼの」という生き方―ようこそあけぼの子育て村へ』2012(H24)に初版として出来上がりました。内容をコンテンツ(CONTENTS)にまとめました。

・「あけぼの」という生き方-ようこそあけぼの子育て村へ

・「よく生きる」という権利

・子どもは「信じるに値する存在」である

・「子ども中心」である

・「自然を生きる」不便、不足、不快、不潔からの学び

・子どもには「ケガをする権利」がある

・遊びや生活で「頭と身体を鍛える」

・「生活の習慣」を整える、の8コンテンツとしました。以来、3度の改訂を経て現在に至ります。最初は、教職員にと思って作ったものですが、あけぼのを選んでいただく保護者の理解も重要だと考え、この考え方に賛同いただける方に入園していただきたいと思うようになり、お読みいただいています。現在は300人を超える教職員と、900名に達する園児が集う大きな組織となっています。

これからの予測不能な時代を生きる子どもたちへ、私たち大人の責任としての哲学、教育的考え方を、保護者と教職員が共有することが何よりも大切と考えているのです。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会