園の下の力持ち

2019.09.25
チーム

毎年夏になると、全国乳幼児教育関係者交流会という全国の乳幼児施設の後継者や園長が集まって行われる研修があります。今年で31回目を迎えたこの研修会では、各分野のトップを招いてお話を伺い、いかに自分たちの肥やしにしていくのか、ということを夜な夜な語り合いながら高めあう、いわゆる意識高い系研修会です。今年も充実した研修内容でしたが、特に心に留まったのはラグビー強豪校の東福岡高校ラグビー部監督の藤田雄一郎氏のチームビルディングに関する講演でした。

ラグビーで強いチーム作りをしていくのと同様に、園運営においてまず初めに我々管理職が求められるのは、豊かな組織作りです。その土台が無ければ、複数人でチームを組んで幼児教育・保育で質の高いものを目指すことはできません。職員同士が同僚性を高めながら教育・保育の質を追求し続けることが最も理想とされる姿であり、チームビルディングは乳幼児施設においてもかなり優先順位の高いものと言っても過言ではありません。経験年数が豊富な保育の上手な職員が集まったところで、人間関係がドロドロで妬みヒガミの渦巻く施設では、何一つ上手くいかないでしょう。

監督曰く、日々「心・技・体」への意識を高めることは当然ではあるものの、それだけでは全国大会でベスト8くらいまでしか勝てる見込みは出ない。全国大会で優勝するためには、「心・技・体」に「生活の質」を加えて、初めて優勝が目指せるチームとなれるとのこと。その代表的な例として、東福岡高校ラグビー部の部室は信じられないほど整理整頓が行き届いており、カバンも靴もほぼ同じ角度で並べられていました。部室というイメージを大きく超えてまるでショールームのような感じでした。一日の練習時間は最長2時間、練習中の「だらだらするな」という体育会系特有の練習時の気合主義から、勝てない時期を乗り越えた逆転の発想で、質の高いトレーニングを短時間に詰め込む。失敗してもできるまで繰り返さない。試合前に普通なら大声を出して気合を入れる円陣は、円になって静かに目を閉じ、精神統一を行う。ある意味でこれまでのスポーツにおける多くの「当たり前」を覆しながら名実ともに最強を目指す姿勢が本当に共感できました。

『神は細部に宿る。』というドイツの美術史家アビ・ヴァールブックの言葉が思い出されます。まさに真実は日々の小さなものの中にある。小さくて見落とされそうなことを大切にすればこそ、きっと成果はついてくる。人も場所もそういう積み上げが大切なのだと思います。

 

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会