園の下の力持ち

2020.04.01
親のしつけはどこまで許されるか

2020年4月から児童虐待防止法と児童福祉法が改正となりました。

虐待とは大きく分けて身体的虐待・性的虐待・ネグレクト(育児放棄)・心理的虐待主の4つに分類されます。今回の改正点として、子どもへの「しつけ」を名目にした虐待が後を絶たないことから、それらを法律で取り締まるという動きです。「親がしつけに対して体罰を加えることを禁止する」ということが明文化され、その内容は具体的に挙げられています。つまり本日から、該当する体罰が確認されれば、法に則って、たとえ保護者が「しつけ」だと言い張っても処罰されるようになるということです。

①身体に苦痛、不快感を与える行為は体罰

 ・注意しても聞かないので頬をたたく

 ・いたずらしたので長時間正座させる

 ・友達を殴ったので同じように殴る

 ・他人の物を盗んだ罪でお尻を叩く

 ・宿題をしないので夕ご飯を与えない

②暴言などは虐待や人権侵害に当たる

 ・冗談で「生まれてこなければよかった」と存在を否定する

 ・きょうだいを引き合いにダメだしや無視する

今回、子どもの人権を守るために、これまでの法整備では不足すると見られる部分について具体的な範囲を示して改正が行われました。もちろんしつけ自体を家庭では止めなさいということではなく、家庭教育と幼児教育が一つになって初めてしつけを含む様々なことを子どもたちが学ぶことができます。どちらか一方だけでは不足します。そのような中で、子どもを一人の人間として、対等な関係で接することの大切さを日本中の子育てにかかわる人に共通理解してほしい。これは我々の教育・保育の理念でも大切にしていることです。

実際の子育てを考えれば、子どもに対して強い口調で伝えなければ親の本当の気持ちがなかなか伝わらずにイライラしてしまう状況はあるでしょう。つい手が出そうになったことのある方もいるかもしれません。ある意味で大人の威厳を見せなければ子どもになめられてしまうという心理がそこにはあるかもしれません。「何度言えばわかるの!」という言葉がもし口をついて出たなら、その言い方では子供には伝わっていないのです。何度言っても分からない言い方なのです。根気強く伝え続ければ、子どもはきっと理解できる。大人なら分かっても、子どもには理解できない言い方で伝えるのではなく、表現を変えてみる、表情を変えてみる。そうすることで変化がきっとあるはずです。

出産後に我が子を抱き上げたあの瞬間。どんなに愛おしくて、元気に育ってくれればそれでいいと思ったあの日。時と共にいつしか親である自分たちの「期待」や「理想」を子どもに押し付け、想いの通りにならない我が子に対する態度が変化していく。手を挙げるにとどまらず、「教育虐待」という言葉が新たにできたように、自らの学力にある種のコンプレックスを持つ親は、自分と同等かそれよりも高い学力を子どもたちに達成させたいと願うことすら起こる。あの日のとてつもない苦労を経験して出産した我が子に、愛おしくてたまらないはずの存在、自分の分身でもある我が子に手を上げなければならない状況は本当につらいし、苦しい。そのような子どもたちを救うためには、我々乳幼児施設における子育て支援が大きな意味を持つはずです。今後「孤育て」に苦しむ多くの人たちのために様々な取り組みを広げていく必要を感じます。法律が無くても、絶対に無くさなければならない虐待。どうかこの文章がそのような問題を抱える一人でも多くの人に届きますように。

大阪府から出されたリーフレットのリンクも下記に添付します。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6686/00359224/02%20leaflet_3859.pdf

 

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会