園の下の力持ち

2021.07.28
『子育てコトバ』

子育てするまでは誰かに対してめったに使うことのなかったような言葉を子育てでは使う傾向があります。自分の両親から受けた言葉もあるでしょうし、何か日本の伝統的な子育てで使われてきたフレーズというものが日本人に染み付いているものかもしれませんが、少し視点を変えて子どもの立場になってその言葉を考えた時、親としてそのような言葉を使ってしまうことを少し反省することがあります。ちょっと大阪の親子の例で見てみましょう。

親:あんた何回言ったら分かるん!

子:何回言われてもよう分からんし…というかそんなこと前に言ったことあったっけ?

何回も同じことを言ってしまっているということは、つまり言い方を変えなければ子どもには伝えたいことが伝わっていないのかもしれませんね。

 

親:一体何考えてんのあんた!

子:その時その時でいろいろなこと考えてるに決まってるやんけ…

本当は何を考えているかを聞きたいではないのにこの言い方では親の言いたいことが伝わらなさそうですね。萎縮させたいだけなら構いませんが、別の言い方の方が伝わりそうです。

 

親:あほちゃうの!(関西弁ではちょっといい意味でもありますが)

子:あほちゃうのと言われても、あほやともあほちゃうとも答えようがないんやけど…

子どもを叱咤したい気持ちからつい口をついてしまうかもしれませんが(特に小学生男児をお持ちの方)、「あほちゃいまんねんパーでんねん」と吉本新喜劇さながらに切り替えされたら怒りは更に高まってしまいそうですね。

 

親:いい加減にしときや!

子:どん位が「いい加減」なんかは、大人と子どもではちゃうやろ…

本当に伝えたいのは「好い加減にしておきなさい」ですが、「いい加減な人」といった使われ方の「いい加減」ともとれるのでなかなか日本語は難しい。そして親と子どもにとっての「いい加減」はもちろん違う。家庭での価値観を作り上げ共有していく過程ではありますが、ここも少し言い方を変えてみるのが良さそうです。

 

親:ちゃんとしなさい!

子:何をもって今の自分がちゃんとしてないと言えるねん…

上記のいい加減とも同じですが、「ちゃんと」も決して目に見える形ではなく、親の概念です。どのような振る舞いをすることが子どもに伝えたい「ちゃんとする」ことなのかを具体的に伝える方が、子どもにとっても分かりやすそうです。

 

親:早くしなさい!

子:自分なりには光の速さで対応中!

子育てをしていたら特に感じる事だと思いますが、急いでいるときは特に子どもたちの一つ一つの行動にイライラしがちになりますよね。別に子どもは親をイライラさせたくてマイペースを貫いているわけではないし、寄り道だっていつも通り、片付けせずに遊ぶことだって割といつも通りという感じでしょう。大人が急いでいる理由を事前に共有するような言葉がけがあれば、少し子どもの行動にも変化があるかもしれません。

 

子育てをすれば自分のペースで進まなくなることが多く、このような言葉が口をつくのは親の本音ですし、つい言ってしまいたくなる事ではありますが、言い回しを少し変えていくことで親と子どもの共通認識も深まり、様々な場面で状況も変わりそうです。子どもとの信頼関係も使う言い回しによってぐっと深まると思いますので、今日から意識してみてはいかがでしょうか。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会