園の下の力持ち

2021.12.13
『自己投資で宇宙旅行』

2000年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカのジェームス・ヘックマン教授の著書「幼児教育の経済学」では、乳幼児期への政策的支出こそ、その他の世代に対するそれの何倍もの効果を得る重要な「投資」であると示されました。同じ1ドルが、どのような世代への投資でその価値をより拡大させるのか。それは乳幼児に対するものだというのです。
このことからも、長期的視点でみた費用対効果や国の未来をきちんと考えていけば、最も重視すべきは明らかにこども達に向けたお金の使い方でなければならないはずですが、政治的には意外にも政治家の皆さんになかなか目を向けてもらいにくい。ぜなら子育て世代は移り行く世代なので、子育てが終わってしまったら子育て政策を訴える政治家に投票したいと思う根拠がなくなってしまうからです。したがって、得票数を伸ばすための選挙の材料(公約)として高齢者への政策や、現金バラマキのような世代を超えた多くの国民が“オイシサ“を感じる様なことを声高に言わないと当選しないのです。これが政治の現実です。
(その中でも、乳幼児教育に対して深い想いで応援してくださる政治家の皆さんに対しては、本当に応援したいと強く思うのですが)

本当に書きたかった内容とずれてしまったので話を本題に戻しますが、各ご家庭では、子ども達の新たな経験に対する投資(費用)はいったいどの程度になるでしょうか。もちろん、家計を圧迫するほど積極的になりすぎる必要はないと思いますが、自己投資は宇宙旅行につながる日が遂に訪れました。ZOZOの創業者の前澤友作氏は、およそ100億円とも言われる資金で自らを宇宙にいざないました。この額は、2021年現在の宇宙へ行くための(推定の)価格ではありますが、10年後、20年後に例えば12時間の宇宙滞在が10万円くらいになっていたら、皆さんは宇宙へ行こうと思いますか?子どもたちをハワイでも、オーストラリアでもヨーロッパでもなく、宇宙に連れて行こうと思いますか?

私は、(一つ前のブログの記事にも書いたのですが)実体験こそが人が人として生きる価値に繋がるものだと思っています。子どもも大人も、とにかく未経験の領域を人生をかけてどの程度埋めて行けるのか。今まさに実体験・原体験をどう積み上げて行けるかがその後の人生を占うものになると考えています。2009年にインドのバラナシで“マザーテレサの死を待つ人の家“で経験した私の一週間の実体験は(いつか保護者の方にはこのお話しをしたいと思っていますが)、今を生きる大きな原動力になっています。お金の価値で経験は測れない。それでも経験は人生の価値を変える。豊かな人生には、豊かな経験が必要です。きっと経験が積み上がるからこそ、「そんな経験は無駄だ」という無駄な経験をも知ることができます。自己投資で(今はまだ一部の人だけが)宇宙に行ける時代になりました。これまでの常識が非常識に変わり、これまでの非常識が常識になる時代の足音です。柔軟な姿勢と、豊かな原体験を求めて、経験にどん欲な子育てを追求していきたいものです。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会