園の下の力持ち

2022.03.18
『夢見る小学校』

日本の教育のあり方を問い直す素晴らしい映画が上映されています。

その名も『夢見る小学校』

公式HP:https://www.dreaming-school.com/

中心に描かれているのは、学校法人きのくに子どものむら学園。そしてその他に公立学校として世田谷区立桜ケ丘中学校や奈良県伊那市立伊奈小学校も取り上げられています。

きのくに子どものむら学園と伊奈小学校に共通しているのは通知表がないこと。そして体験型学習を通して子どもたち自身が考え、行動し、話し合う中での子どもたち自身の力が育っていくことが大切にされています。

きのくに子どものむら学園には、開校年度から私の弟が小学校2年生から小学校6年生までの5年間を平日の寮生活をしながら通っていましたので、その「不思議さ」を当初から知る立場ではありました。何度も学校には行かせていただく機会がありましたが、公立の小学校で学んでいる自分を取り巻く環境とは大きく異なっていたからです。

映画には、学園長の堀真一郎先生、脳科学者の茂木健一郎さん、文化人類学者の辻信一さん、教育評論家の尾木直樹さんなども登場しますが、その中ではっとさせられた言葉がありました。「ここでは「問いを育てる」ということをやっている」という趣旨の発言でした。日本人は質問ができない人たちが多い中で、きのくに子どものむら学園出身の人たちは質問ができる人たちが多いのだそうです。つまり、日々の生活の中で興味関心に突き進みながら、活動のたびに様々な「問い」に自ら答え、生活しているからこそ、新たな問題にぶつかった場合にも、その「問い」を超えて行ける。更に、「問うことの質」を上げていくことができるからこそ、自らの実体験・経験の質を更に高めて行くことができる。まさに日本の小学校教育が舵を切ったアクティブラーニングが目指すカタチなのではないかと感じました。

また、きのくに子どものむら学園の堀真一郎先生の子どもたちに対する考え方の中で、「子どもたちのありのままを受け入れる」という言葉がありました。それは、「将来のために今を我慢させても、ずっと我慢し続けることになる」という想いから来ているという言葉を聞いて、確かに、今我慢したって大人になっても結局子どもの頃にのみ許されるチャレンジだったのだけれど、大人になったら今更やるべきではないと我慢して、結局できなかった、しなかったことが人には沢山あって、その瞬間その瞬間の興味関心に突き進む経験こそが、その子の良さを引き出し成長する大切な要素となるということにも気づかされました。子どもの頃だからこそ我慢せずに思いっきりやってみれる経験がなければ、大人になったとしても、判断することの範囲はそれ以下になるということです。

幼児期における遊びの重要性、誰かに教わって分かるのではなく、主体的な遊びから獲得されるさまざまな知識や知恵を豊かにする幼児期の在り方と、アクティブラーニングを大きなテーマとして動き出した小学校教育の幼小接続が今後大きなカギになりそうです。

この映画、是非ご覧いただきたい作品です。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会