学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
Copyright © AKEBONO Kindergarten Group. All Rights Reserved.
先日園での保護者クラス懇談会の全体会の中で、食と農薬について保護者にお話をさせていただきました。その中で、近年の日本の発達障碍を抱える子どもたちには、何らかの原因があると考えるのが自然であること。その中で、まだ十分なエビデンスが揃ったと言い切れる訳ではありませんが、以前から発達障碍と農薬の関係性が指摘されていることが更に研究により進んできたというお話をさせていただきました。
その中心テーマとさせていただいたのが農薬・殺虫剤として広く使用されている『ネオニコチノイド』です。有効成分は、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリドという7種類です。既にEUでは使用禁止農薬となっているものが、この日本では未だに使用されています。ネオニコチノイドの特徴は、水溶性(水に溶けやすい)・浸透性(しみ込んでいきやすい)・残効性(効果が持続する=長らく留まる)・低揮発性(蒸発しにくい)・熱安定性(熱に強い=調理しても留まる)・急性毒性(短期的な影響が低い)といったことが挙げられます。反対に、少量でも効果があるため、低農薬などという謳い文句で売られている野菜が、この農薬のおかげでそういう呼ばれ方をしているという皮肉な場合もあります。
1990年代に有機リン酸系の農薬(当時は体内で分解できるとされていた)ものから、このネオニコチノイドという化学物質に使用が移っていきました。まさにそのころ、世界各国でミツバチが大量死するという出来事が起こりました。農業においてミツバチは花粉媒体を行う重要な役割もあり、様々なところでミツバチの大量死に留まらない問題が起こったといいます。そしてこのネオニコチノイドの使用とミツバチの大量死に因果関係が考えられました。ネオニコチノイドは神経伝達物質のアセチルコリンの働きを撹乱することで、ミツバチは自らの巣に帰ることができなくなり、結果としてハチの群れが散り散りになって群れが崩壊し、神経毒としての側面からじわじわとそれぞれの個体を蝕みゆっくりと死んでいく。そのようなことが起こっていたのです。近年ではミツバチに加えて赤とんぼも数が激減しているといいます。
また、調べていくと野菜の残留農薬の基準にも驚かされます。EUと日本のネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準値は、きゅうりで100倍、茶葉で71倍、トマト・ピーマンで60倍、ブロッコリーで50倍と日本が驚くほど高い基準となっています。まさに国産のものを食べていれば安心という根拠のない買い物でこれほど恐ろしい野菜を掴まされているとはだれも思っていないでしょう。今年の4月20日に国会の衆院厚労委員会で興味深いやり取りがあったので一部共有いたします。
(以下抜粋)
急増している子ども達の発達障害と残留農薬の関係について、初めて国会の衆院厚労委員会で立憲民主党の長妻昭元厚労大臣が質問をしました。長妻議員はネオニコチノイド系農薬のチアクロプリドと有機リン系殺虫剤クロルピリホスについて、国立国会図書館の専門委員に聞いています。
専門委員は「ネオニコチノイド系農薬には人の健康を害し特に子供の脳の発達に影響する可能性がある旨の黒田洋一郎、木村ー黒田純子博士の論文がある」と答えています。
この木村ー黒田博士の論文についてはTBSの報道特集で EUの欧州委員会の事務局がこの論文を読んで2020年1月にはEUではネオニコチノイド系農薬の使用が禁止されたと既に報道されています。
政府参考人は有機リン酸系殺虫剤クロルピリホスについても、米国、EU においては発達神経毒性が懸念されるとして安全性の評価の結果禁止された事実を答弁しています。
さらに遠山千春、木村ー黒田純子博士の論文でも クロルピリホスは胎児期から小児期にかけて長年にわたり疫学調査したアメリカの研究を紹介して、胎児期の曝露が多いと記憶力、知能指数の低下や注意欠如症状の増加との関係が認められていること、学童期に精神発達が遅延することも答弁しています。
*衆議院 厚生労働委員会 開催日:4月20日(水)
確証が持てなければ具体的な対応を取ったり気を付けられないという気持ちも勿論ありますが、このような事を知って以来、ペットボトルのお茶に含まれる農薬のことを想像するだけで飲み物として考えられなくなり、それまではペットボトルのお茶を当たり前のように購入していたにもかかわらず、自分では水を買うようになりました。
日本ではまだまだアメリカやヨーロッパと比べるとオーガニック野菜などが気軽に買える環境にはなく、また値段も割高であることから、事実自分の口を通って身体を作るとても大切なものであるにもかかわらず、どうしても後回しになりやすいことではありますが、これから大人になる子ども達の未来を考えたなら、養育する大人たちが少しでもこのようなことにいち早く目を向けていくことが大切かもしれません。