園の下の力持ち

2022.12.02
『ご近所さん』

子育てをするようになってから、地域の人たちとの交流が急に増えました。全く知らなかったはずのご近所さんたちから、驚くほど話しかけられることが増えたのです。土地柄地域柄もあるかもしれませんが、私の住むエリアは特段地域の住民のつながりの強い、連合会の会員同士が強い結びつきで何かをする、という積極的な関係性のエリアではありません。それでも、小さな子ども連れになった途端、地域の方々から積極的に話しかけられるようになりました。

我が子がそんなに愛嬌を振りまいて過ごしているわけでも無いと思いますが、我が家を取り巻く地域の住人の皆様は、まるで自分の孫や子どものように我が子に接してくれます。
その代表格が「ボンノさん(仮名)推定70歳」。娘の誕生日にはこれまでボンノさんが接してくださった記憶(最初は道に落ちていたドングリを拾っているところで遭遇した)と、その時の写真が添えられたお手紙とお菓子を持って誕生日当日に自宅に来て下さったり、散歩の時間を合わせてわざわざ顔をみようと必死に頑張ってくれたり(笑)、自宅に招いてくださって飼い猫と遊ばせてくれたり、たまたま梨が食べたいと言っていたことを思い出して大きな梨を持ってきてくださったり。まるで3人目の祖父がいるようです。
さらに「モルヤさん(仮名)推定85歳」は自宅の前で様々な野菜を育てています。夏場には一人暮らしとは思えないほど沢山のプチトマトを栽培しているので、我が家では「トマトのおじいちゃん」と呼んでいますが、前を通るたびにプチトマトを分けてくださいます。「近所で飼われている犬はうちのトマトをみんな食べるから」という持論と共に、我が家の2匹の飼い犬にもトマトを食べさせようとしてくださいますが、残念ながらうちの犬たちはトマトは全く食べません(笑)更に、今年の夏にはサニーレタスの苗を鉢でくださり、我が家の無農薬ベランダ栽培野菜のラインナップにサニーレタスが加わりました。それに加えて、毎年秋になると鈴虫を大量に飼育し、「ご自由にどうぞ、秋を感じましょう。」と達筆で書かれた紙と共に、飼育ケースに入った鈴虫を玄関先にいくつも置いて、モルヤ家の内外から鈴虫の声が鳴り響きます。例に漏れず、我が家にも飼育ケース一つ、届けてくださいます。
これらのお二人に加え、年齢は70歳くらいだとお見受けするもののいつも背筋がシャキッとされていて背が高く、いつもウォーキングをされているダンディな「ソウカさん(仮名)」もお会いするといつもわざわざ足を止めて話しかけてくださいます。

子育てをして初めて、ファミリーレストランの有難さが分かったり、おむつ交換やトイレのことを考えて行先を考えたり、同じ子どもを持つ世代との情報交換の機会を欲したりすることがあります。自分たちが人生の主役だったそれまでとは異なり、新たな人生のステージに立っていることが良くわかると思います。そういう中で、地域の方々の温かな、それでいて緩やかな見守りという繋がりが生まれる事は、現代においてそんなに多くはないと思います。それでも、この関係性ってとてもいいな、日本人が元々暮らしたムラ社会の緩い現代版みたいだな、そんな風に思います。
地域で行う子育てを目指して、「あけぼの子育て村」の実現に向けて邁進しているわけですが、地域と共に生きることの重要な側面を垣間見た気がします。防犯上もきっとこういう形が有効なのだと思いますし、これからもこのようなつながりを大切にしていきたいと思います。

ページの
先頭へ

学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会