園の下の力持ち

2023.01.05
動物飼育の意義

当園には、うさぎ、モルモット、うずら、錦鯉、熱帯魚、カブトムシなどなど、多様な生き物が飼育されています。もちろん日々子どもたちと共に掃除やエサやりを行い、それぞれの動物に対する愛着も築かれています。

動物愛護の観点から考えれば、人間が動物を飼うという事自体に疑問がある方も一定数いらっしゃることも理解できますし、現にそのようなお声をいただいたこともあります。ただ、単に動物を飼うということ自体を目的なく行っているわけではなく、あくまでも保育環境の一つとして当園では動物飼育を行っています。都会のど真ん中に位置する園であるからこそ、各家庭でなかなか飼育が叶わない動物を園で飼育する機会を生み出すこと。さらに、幼稚園教育要領に示されている“10の姿”の一つ「自然とのかかわり・生命尊重」を、環境から子どもたちに導くために、このような形をとっている側面もあります。

子どもが生まれたら「犬」を飼いなさい。

子どもが赤ん坊の時、子どもの良き「守り手」となるでしょう。

子どもが幼年期の時、子どもの良き「遊び相手」となるでしょう。

子どもが少年期の時、子どもの良き「理解者」となるでしょう。

そして子供が青年になった時、自らの死をもって子どもに「命の尊さ」を教えるでしょう。

という欧州の言い伝えがあります。

小さな虫の飼育だけではどうしても十分に感じ取ることができない「命」の大切さは、お世話をし、触れ合い、そうして生まれた動物と人との関係性の上に初めて感じ取ることができるようになるのであって、そのようなプロセスを抜きにして(親族の死など以外では)命の尊さは通常幼児期には学ぶことのできないものです。それでも、幼児期から命の尊さを知る機会を持つことが、その後の価値観を作り上げる中では大切になると思います。現代っ子たちは、たくさんの動物をYouTubeで二次元的に見たことはあれど、実際に犬や猫でさえも触れ合うことが本当に少ない時代に生きています。だからこそ、日々過ごすこども園でこのような環境を持つことに大きな意義があると感じます。年に一度来ていただく移動動物園しかり、少々飼育の手間がかかる園内の動植物たちしかり、幼児教育は環境の教育といわれますが、保育環境の充実というものの一端を担うこのような一つ一つの要素を大切にしてこそ、子どもたちの育ちに欠かすことのできない充実した環境であると言えます。

話は変わりますが、先日うずらの雌が不慮の事故(カラスに襲われた)により亡くなり、卵を産まない雄だけが飼育されていました。それ以来大きな声で悲しそうに鳴くので不憫に思っていたのですが、新たに雌をお譲りいただき仲間入りしました。この雌が卵を産み始めたら、今度はまたプロジェクトチームを作って、孵化に挑戦していきたいと思います。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会