園の下の力持ち

2023.02.01
「絶対に怒ってはいけない」

日本の大手スポーツメーカーであるミズノが、面白い取り組みで小学生向けの野球大会を開催しています。その大会理念はズバリ「絶対に怒ってはいけない野球大会」。少年野球や少年サッカーなどの一昔前の監督と選手の関係は、言わずもがな“怒鳴り散らされながら必死のパッチで頑張る”というのがある意味当たり前で、そういう中で対大人(監督やコーチ、保護者)に対する礼儀作法や、チームメイトに対する関係づくりなどを学んでいくのが常でした。そして後に振り返れば、それがかけがえのない経験を積んだという美談と共によみがえることも実際あります。
一方で、褒めて伸ばそうというスタイルの指導も少しずつ広がってきて、そういう指導を受けたチームが大きな大会でも結果を残すようになってもきました。
ただ、忘れてはいけない大切なポイントは、教わる側、プレーする側の子ども達がどのようなモチベーションでそれぞれの指導方法に触れるのかということです。言い換えるならば、子どもの気持ちに寄り添えているのかどうか=選手のモチベーションを上げるためには何が必要なのかを考えられているかどうかが重要であると思います。

ちなみにミズノの野球大会での5つの約束事は下記の5つ。
 1・元気いっぱいプレーしよう!
 2・気軽に参加しよう!体操服・運動靴でもOK
 3・みんなが主役!1人でも多くの選手が試合に出よう
 4・みんなでこの大会を盛り上げよう
 5・失敗した時こそ、励ましあおう
登録選手の上限をなくし、交代した選手が再出場可能なリエントリー制度の採用や、不揃いのユニホームでの参加もOKなど、既存の大会とは一線を画した規定で行われています。また、指導者・保護者が怒ることは厳禁で、第三者である審判、運営側が怒鳴るなどした監督や保護者に対してはイエローカードを出すという、大人に対するけん制もあるそうです。

当園においては、危険を伴う場面以外では、否定語や禁止語を使わずに、肯定語で保育を行っていくという考え方がありますが、小学生相手のスポーツ指導に限らず、大人の“怒る”という感情で子どもたちに何かを伝えることは、結局はその勢いや恐怖によって大人の言いなりにさせていることに過ぎません。つまり、怒るという方法では子どもたちの“納得感”というものは得にくい。なんでこんなに怒られているんだろう…と、理解ができていない状態を生むだけなのです。
一方で、大人も子どもも対等な関係の中で、子ども達が納得しながら取り組みを進めることが出来れば、一人一人の気持ちも動きやすく、且つ実践的に進められるのではないかと思うのです。怒ることができないことが即ち褒めるしかない、というわけではないところもポイントで、きちんと伝えなければならないことは“怒らずに”伝えることが重要だということです。大人も子どもも一つひとつのことを納得して理解していくことが出来れば、もしかするとそれが最も効率的な指導に繋がっていくのかもしれませんね。(子育てについてもまた、これが真実)

ページの
先頭へ

学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会