学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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今に始まったことではないものの、少子化の波が止まりません。
2022年の「合計特殊出生率」は1.30と6年連続で前年を下回っており、更なる高齢化社会の波が当たり前のように押し寄せてきています。私の年代(40代)でも将来年金をもらえるなどという甘い考え方を捨てなければならないのだろうと考えますが、子どもたちが成人したとき、一体一人の成人に対して何人の高齢者を背負う社会になっているのか考えるだけでも危機感が募ります。
政府が様々な子育て施策が打っても、根本的な出生率の増加に転じるだけの魅力はありません。こども手当一つ取ってみても、もう一人子どもが作れるという判断には現実的になりません。なぜ3歳以上になると1万5000円の子ども手当の額が減るのか…。個人的には一つのアイデアとして、産前産後休業や育児休業期間中の所得補償という考え方があれば、家庭での生活自体に変化がなく支出は変わらないのに、収入が減ってしまう心配もなくなり、2人目3人目という選択肢も広がるような気がしますが、そのようなインパクトのある施策を打って出ない限りは、恐らく今の状況に歯止めをかけることはできないと考えます。(このアイデアがベストだという確信も持てませんが)
子どもが減るということは即ち、幼児教育の担い手である我々には特段に危機感のあるトピックスです。幼児教育・保育の無償化という施策によって、これまで1号認定児として幼稚園に通っていた子どもの一定割合が、とにかく保育料が無料であるが故に、2号認定として認定こども園や保育園に通うようになりました。標準保育時間が11時間などという誰がどう考えても標準とは呼べない設定が、この国の待機児童を膨らませ、幼稚園に入園する子どもは激減しているのが現状です。事実、フルタイムで働く、保育を必要とする家庭の子どもが、認定こども園の2号や保育園に入園できないのに、方や一日3時間のパートを週3日行っているような家庭の子どもが保育所に通えてしまっているようなおかしな状況もあります。
タイトルにした「大学全入時代が示すもの」とはまさに、幼児教育の先にある、教育に対する大きな変化の波を表しています。平たく言えば、全国の大学入学希望者=全国の大学の定員以下ということになります。もちろん、その中で人気の大学とそうでない大学に二極化され、どんどん淘汰されて最終的には大学の数が減ることでバランスが取れるような、そんな状況になることもある程度予想されます。
また、大学入試の在り方も大きく変化しています。これまでの詰め込み教育では測れない、人間的な力、社会的な力、協調性や計画実効性、物事をやり抜く継続力などを問われることが増えています。知識の詰め込みはもはや人間のすべき事ではなく、それはスマホやパソコン、はたまたAIに任せておいて、それらの技術を使いこなす側の力が必要な未来が迫っていることに他なりません。そのような力を測るべく、大学ではAO入試の枠が広がっています。AO入試とは元々アドミッション・オフィス入試というものの略称でしたが、2021年度入試より「総合型選抜試験」という呼称に呼び直され、「その大学で学びたい」という強い意欲や、入学後の目標が重視されるのが特徴となっているものです。
試験内容は、書類審査や面接だけでなく、知識や思考力・表現力という風に、多面的に評価します。日本では国公立大学では北海道大学、東北大学、筑波大学や横浜国立大学、大阪大学など、かなり多くの大学で実施されており、更に増加傾向にあります。私立大学では、早稲田、慶応、学習院、明治、関西、関西学院、立命館、同志社など、こちらも更に広がりを見せています。
これまでは自分探しのモラトリアムとして大学に入学し、在学4年間で将来の自分を探すような学生も少なからずいました。しかし時代も変わり、大学全入時代となれば、何を学びたいのかを明確に持って大学生活に突入することこそが必要になるのかもしれません。
これまでのように、有名大学が大学名だけで募集人員を超える状況とは違い、いかなる大学もこれまで通りの方法だけで運営していれば、将来的に求められる力を付けられるプログラム(カリキュラム)に繋がっていないと判断され、入学希望者は減っていくはずです。つまり、選ばれる大学になるために、まさに今後求められる人材となれることが可能であると思える要素をカリキュラムに振り分けていくことこそ、正に求められていることなのだと思います。
そして改めて話を幼児教育に戻せば、更なる少子化の中で、無理のある政策で数ばかりが増えた小規模保育園や認可外保育園の閉園は大前提、その先に、生き残りをかけた凄まじい認定こども園・幼稚園・保育園の三つ巴の生存競争が待っているのです。保護者のニーズを満たすことばかりが大人の目に留まりがちですが、子どもたちにとって本当に必要な力をつけることのできる教育が何なのかを模索し、常にアップデートできる園でありたいと思います。努力は続きます。