園の下の力持ち

2023.05.02
『あまねホールと会議室しげみ』

2019年4月に開園したここあけぼのほりえこども園は、この地で開園するための応募書類を作成している段階から既に設計が進行していました。保育室の数やレイアウト、オーダーメイドの家具や椅子、ロッカー、園庭や屋上園庭(空庭)のデザインなど含めて、全て私が設計士さんや工務店の方との打ち合わせの中で決定し、作り上げた施設です。細部にまで検討を重ねて出来上がった施設ですから、もちろん思い入れは誰よりも強いと思います。

開園を間近に控えた2019年1月。今年で創立70周年(1953年11月2日創立)を迎える学校法人あけぼの学園と、系列法人である社会福祉法人あけぼの事業福祉会の計8施設の生みの親であり、元理事長であった祖母、安家周子(かねこ)が天命を全うしました。最後の最後まで力強く生き続けた彼女の逸話は数え切れませんが、女性の社会的地位の確立のための活動に情熱を注ぎ、実にエネルギッシュに社会を変えようと活動を続けた人でした。

そんな祖母と、そして共にこの法人を築いた祖父安家繁美にちなんだ場所はそれまで在りませんでした。そこで、新規開園を前に、各保育室や場所の名前を付ける際、祖父母にちなんだ名前をどこかに付けようと思い立ちました。

周子の“周”という字は、その長男である父、安家周一の名にも引き継がれていること。そして、周という字は一文字で「あまね」と呼ぶことができることから、多くの人が集う場所であるホールに「あまねホール」と名付けることにしました。いつも賑やかで活発だった祖母にぴったりの場所だと感じています。

そして、若くして亡くなった祖父繁美は、どちらかというと寡黙な印象のある人柄だったこともあり、落ち着いて話をすることのできる園内で最も小さな会議室に「しげみ」という名前を付けました。二人の想いを乗せて開園5年目を迎えられたこと、そして大阪市という新たな場所に、あけぼのイズムが流れる施設運営が行えることに今はただただ感謝しています。

伝統なき創造は盲目であり、創造なき伝統は空虚である。
大切なのは生きた伝統であり、それに必要なのは教養である。
(天野 貞祐 哲学者 教育者 文学博士 獨協大学初代学長)

この言葉を胸に、法人創設の折に託された沢山の想いを抱いて、この園に創設者二人の名前を刻んで繰り広げる日々、目の前にいる子どもたちにとっての最善を更に探し求めていきたいと思います。

理想が実現しているわけではありません。
でもここには未完成の希望が溢れています。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会