園の下の力持ち

2023.06.01
子どもらしくあること

子どもに対して、子どもらしさを許容できず、大人同様の振る舞いばかりを要求してしまう場合があります。しつけと育児のせめぎあいの中で、ついついこのような傾向に陥ることに心当たりがある方も少なくないと思います。何とか大人の都合に合わせた振る舞いを身に着けて欲しいと願うからこそではありますが、子どもの頃に子どもらしさを奪われたなら、その後の人生の中でどのような歪みが起こるのかを、想像することはできるでしょうか。実は自己表現のための主張を、この圧力で抑え込んでいることと同義なのではないでしょうか。

何を以て子どもらしいのか、ということについては状況によって異なると思いますが、子ども時代は「遊び=楽しい」を通じて育つ発達段階であることは間違いありません。

集団生活においては尚更、子どもは子どもらしく、子どもたちの価値観の中で気持ちよく過ごし、お互いが気持ちよく過ごすその先に、子ども同士でも不都合が生じ、葛藤し、そして子ども同士でそれを調整し、解決方法を模索していく。場合によっては、その場では一旦何事もなかったかのように離れていってしまって、大人の目から見たら「解決していない」と判断されるようなことでも、子ども同士の心の中には確かに動きがある。それが後々のやり取りにも繋がってくる。こんな状態がまさに、本来の子どもらしさであって、他に何と表現できるだろうと最近考えます。

・公共の場で大きな声を出さない。
食事中は立ち歩かない。
・「ごめんね」と言われたら「いいよ」と返事する。
・「貸して」と言われたら使っているモノを「どうぞ」と渡す。
・人の話はしっかり聞く。
・自分のことは自分でする。
・嘘はつかない。
などなど。

子どもの頃に周りの大人から当たり前のこととして伝えられたこのようなことを、私たちは大人になって本当に全てできるようになっているでしょうか。そして大人になって、これらのことが全て、正しいと言える価値観であり続けるでしょうか。

子ども時代に必要な「らしさ」を許容する気持ちも態度も、子育て中は難しいものではありますが、この時期にしか表現できない子どもらしさと、大人がしつけのために子どもたちに身に着けて欲しいと感じる振る舞いを、今一度整理したいものです。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会