学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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あけぼのほりえこども園の園庭には、果樹を付ける木として佐藤錦(さくらんぼ)・シャインマスカット・巨峰・パッションフルーツ・びわ・ザクロ・アーモンド・ブルーベリー、そして桃の木が植えられています。
中でも築山から流れ出る川の横に小さく植えられている桃の木は、縁あって、かの有名な和歌山の”あら川の桃”の木を農家の方からいただいたものです。ちなみに”あら川の桃”は、阪急百貨店で1玉500円以上します。そんな桃の木は、今年で植えてから3年目となります。
植えた当初は30㎝ほどの挿し木で小さく、実がなるような状態ではありませんでしたが、昨年は剪定の末に“こぶし大の桃”が2つ収穫でき、近くにたまたまいた子どもたちとその場で皮を剥いて食べてみたところ、これが何とも美味、あっという間になくなってしまいました。
そして迎えた三年目。桃栗三年柿八年で言うところの三年目なので、期待に胸が膨らみます。こども園という過酷な環境の中で、一番伸びていた枝がボール遊びの餌食となりぽっきり折れてしまっても、雨風で細い枝がこれまたぽっきり折れてしまっていても、何とか残された枝には、緑の葉が芽吹き、春には沢山の花が咲きました。
楽しみに観察を続けているうちに、遂に小さな桃が実をつけ始め、およそ20個くらい確認できました。以前桃農家の方から伺った通りに、一つ一つの桃を大きくするために、実と実の間隔が30センチくらいになるように実を剪定していきます。小さな桃を摘んでいると、通りかかるほぼ全ての子どもたちから「何やってるの?」という質問。その都度答えながら作業は続きます。だんだんと桃の木の周りにはギャラリーが増えてきました。作業終了まで沢山の子どもたちに見守られながら、「みんなで美味しい桃を食べられるように頑張ってるよ~」と伝えつつ、最終的には7つまで桃の数を調整し、大きくなって熟れてきた桃が鳥に食べられないように、木にネットを被せて作業は終了。剪定して切り取った小桃は、作業を見守ってくれていたギャラリーの子どもたちに一通り匂いを嗅いでもらったり、触ってもらった後で欲しい子どもにプレゼント。ここからは木に残した小桃が大きくなるのを眺めて、食べ頃を待つことに心躍らせていました。
しかし翌朝、出勤して桃の木を見に行ってみると、まさかの事態が…。
昨日の作業で、一つ一つの桃を大きくするために残しておいた7つの小桃がどこにも見当たりません。つまり…桃の木についていた実が一つ残らずなくなっていたのです。あれ…あの桃たちはどこいった…。打ちひしがれながらも、その後園庭を掃除していると、見覚えのある緑色の実があちらこちらに転がっているではありませんか!
前日の作業を見守ってくれていた子どもたちには、私がしていたその作業がすごく楽しそうに見えたのでしょう。ある年長の女の子が、「昨日園長先生頑張ってたから、残ってたやつあったから、私たちで取っておいてあげたから」と屈託のない笑顔でお知らせくださいました。ありがとう。涙
ということで、2023年度は豊作予定の桃でしたが、残念ながら誰の口にも入ることなく桃活は終了となりました。
これこそが、保育の面白さ、子どもたちの興味関心の突き進む形。面白いを面白がれる大人集団でありたいと思います。