園の下の力持ち

2023.10.01
生と死

2017年に改定された幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領には、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」という記載があります。この10の姿とは、卒園までに育みたい子どもの姿を、5領域、つまり「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」をもとに10個の具体的な視点から捉えて明確化したもので、以下の項目が設定されています。
①健康な心と体
②自立心
③協同性
④道徳性・規範意識の芽生え
⑤社会生活と関わり
⑥思考力の芽生え
⑦自然との関わり・生命尊重
⑧量・図形、文字等への関心・感覚
⑨言葉による伝え合い
⑩豊かな感性と表現
これらの項目一つひとつは、生活の中の様々なシーンで自然と身についていくものもあれば、保育計画に具体的な策を設定して、子ども達の経験を促すものもあります。
以前、園で動物飼育を行う意義をブログでも書きましたが、⑦の自然との関わり・生命尊重というものについては、小さな虫との出会いや植物栽培だけではどうしても生命尊重という概念には結びつきにくいと感じているため、愛情を持って飼育する動物と、その死に触れることでの学びの観点から、園でのうさぎや小動物といった動物飼育を続けています。もちろん、家庭で犬や猫といった動物を飼っている場合には、それに加えた経験をできる場合もありますが、家庭によって状況は様々ですので、平等な経験を得るという意味で園での飼育動物の必要性は感じています。

そのような背景の中でも、やはり死というものをより強く感じ、考える機会というのは近しい人の死であると感じます。

私事にはなりますが、今年の6月に母方の祖父が96歳で他界しました。長野県から大阪に移り住み、自ら会社を立ち上げ、90歳を過ぎるまで仕事に邁進するようなパワフルな祖父は、いつも初孫の私に対して愛情を持って接してくれました。そして両親がいつも仕事で忙しい代わりに、祖母と共に沢山の時間を一緒に過ごした祖父への記憶は、かけがえのないものです。
そんな祖父がその生涯を閉じようとしている、そんな状況を、是非我が子にも共有したい。私はそのような衝動にかられ、4歳の娘を急いで迎えに行き、祖父のベッド横に連れて行きました。もういつ逝ってもおかしくない最期でも、力を振り絞って息をし、時に目を開け天井を見つめるその様子を、娘も真剣に見守ってくれました。もちろん最初はいつもと違う様子に怖がっていました。それでも、今までありがとうと感謝の言葉を共に伝えました。
程なく息を引き取り、葬儀の日となり、出棺直前、私が娘を抱っこしたまま泣きじゃくる様子に、私の胸の中で娘も一緒に沢山泣きました。こらえきれない私の感情が伝線したように、彼女も彼女なりに死というものに触れ、感じているようでした。
それからというもの、娘との会話の中に「死ぬ」という単語がしばしば出てくるようになりました。次に死ぬのは誰?その次は?パパも死ぬの?ママも死ぬの?死んだらもう会えない?骨になるの?骨にしたら石(墓の意味)の中に入れるの?そして、死ぬのが怖いと、泣く日もありました。
死という究極の最期は、本当に辛いものです。他に代えることのできない胸の痛みが伴います。だからこそ、娘には人に対して優しくあって欲しい。自分自身も、優しくありたい。そんなことを改めて強く感じる機会となりました。
毎日育児に追われ、我が子にはこうあってほしい、こういう風に育ってほしいという想いが、どうしても子ども自身の気持ちを後回しにすることが多い日々の中で、改めて、一人ひとりがかけがえのない存在であり、尊重されるべき存在であること。そして、そんな中で、誰に対しても敬う気持ちを忘れてはいけないという、生きていく中で最も大切なことをことを、このような経験を通して改めて伝えていけたらいいなと思います。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会