学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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大人にとってはごみ。
子どもにとっては宝物。
お菓子の箱やプリンのカップ、たまごの容器に靴の箱などなど。それらは「廃材」という呼ばれ方で、保護者の皆様へ提供依頼をかけ、ごみ箱行きを免れて子どもたちの創作・制作活動を行う大切な資源として、保育施設で活用されます。
本来創作活動とは頭の中でイメージする「表現したい・作りたいもの」がある場合、そして色々なものを何とはなしに組み合わせていくことで「表現したくなった・作りたくなったもの」が出現する場合の二通りの行程が存在していると考えます。それらはいずれの場合でも、最終的には子どもたちの頭の中にあるイメージを具現化していく、とても大切な体験であると考えています。
私たちは絵画製作や造形製作の活動は、それぞれ子どもの「遊び」の一つであると捉えています。子どもたちは廃材に留まらず、画材や造形素材とじっくり関わり、遊び込むことを通してまず、自分の感情や心情と向き合うことの根元的な楽しさや開放感を味わいます。そして、形や記憶のイメージに描きたいもの・作りたいものを結び付け、自分が作り上げたものを通して自分以外の他者にその具体的なイメージを形を伴って発信することができる・理解してもらえる・共感してもらえるということを知ります。
これが「表現することの楽しさ」につながるものだと考えています。
ある幼稚園の創作展を見学した際、大阪城の絵をクラス全員が一枚ずつ描いたものが並んでいました。一枚目を見た時には「なんてすごい色使いで大阪城を描くんだ!すごすぎる」と感じました。なぜなら、石垣が紫色、緑色、そして青色の組み合わせで塗られていたからです。しかし驚いたのは、その隣の絵を見た時でした。隣の絵も、全く同じ色でした。その隣も、そのまた隣も…。
この活動は、絵画展で入賞を目指すために「入賞のための要素が散りばめられたお手本」を見せて、その通りの形・配色で絵を描かせる活動なのだと分かりました。事実、その後の絵画展でそのうちの一枚が入賞していました。
本来絵を描くという体験は、描かなければならないモノを指示されることではなく、選択しなければならない色を押し付けられるのでもなく、そして制作活動においても、〇〇はこの形、大きさでなければならないという窮屈で制約の多い制作活動ではなく、主体的な「遊び」と「共感」にこだわり、この遊びの結果として残った「二次元的・平面的な跡」を“絵画”、「三次元的・立体的な跡」を“造形”と呼びたいと考え、日々子ども達の創作意欲が高まる環境を素材の充実や打ち込める時間の確保を伴って行っています。伸びやかな可能性がさらに広がるこのような活動こそ、小学校以降にはなかなか体験することのできない大切な活動であると思います。だからこそ、このような時間を子どもたちに確保していくことの重要性を踏まえて、大切にしていきたいと思います。