園の下の力持ち

2024.03.01
和える心

先日保護者の方から、先生が好きそうな本を今読んでいる途中ですが紹介させてくださいと、一冊の本を紹介いただきました。

 

 

今日誰のために生きる?
アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語

ひすいこうたろうxSHOGEN 著

廣済堂出版

本の内容は前半で、アフリカのブンジュ村にティンガティンガ画家のSHOGENさんが住み込み、そこでの村人たちとの生活を通して気づいた「日本人らしさ」、そして日本の外から見た「日本人の良さ」に、日本人であるSHOGENさんが改めて気づく様々な出来事で構成され、後半でそれらの出来事を踏まえて、ひすいこうたろうさんが様々な解説をするという構成になっています。

実は個人的にいつかSHOGENさんに園の壁に大きなティンガティンガの絵を描いていただきたいと思っていたので、大変興味深く読ませていただきました。

この本の中に、「和(あ)える」と「混ぜる」の違いという箇所があります。

日本料理の「和(あ)える」を平和の「和」と書くのも、まさに日本的な感性が表れています。
「和える」は料理で使う言葉ですが、似た意味の言葉に「混ぜる」があります。料理研究家の土井善晴先生は「和食には混ぜるはなく、和えるしかない」と言っていました。西洋では粉と卵を混ぜ合わせてパンを作るように「混ぜる」ことで、まったく違うものを作り出そうとします。英語にするなら「ミックス」
一方、日本の「和える」は、それぞれの違い(魅力)を活かしながら、お互いの個性、存在を尊重し、おいしい料理を作る。英語にするなら「ハーモニー」となります。
一人ひとりが自分の本当の心を大切にしながら、無理に一つにしない。個性がバラバラなままでハーモニーを生み出す。それが「和える」であり、聖徳太子の「和を以て貴しとなす」ってやつです。(本文ママ)

ダイバーシティや多様性といった言葉が近年の日本にも多く使われるようになりました。日本中で果たしてどれほどこの概念が正しく浸透しているかは分かりませんが、我々あけぼのという集団は、このような言葉が使われるずっと前から、多様な個性を持った子どもたちを広く受け入れる、今でいうインクルーシブ教育を推進し、多様な人と共に生活し、そして大人も子どもも共に成長することを大切にしてきました。

それらの生活の中で、様々な個性が粉々にされながら混ざり合う事で新たな価値が生み出される生活というよりも、多様な個性と個性が良さを保ちながら和えられる生活の中で、という表現の方がしっくりとくるように感じました。自分らしさ、人間らしさが和えられながら、新しいハーモニーを奏でる。まるでコーラスのような生活こそ、日本人の持つ美しい多様性の在り様なのかもしれません。

更に、この本にはこんなことも書かれています。
「人は長所で尊敬され、短所で愛される」
多様な人が集まる集団生活だからこそ、特技を生かし伸ばし、そして足りないところを補い合って育ちあう、そんな意識を大切にしたいですね。

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会