学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会
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最近面白い本にたくさん出合っていて、自分のアップデートになって楽しいなぁと感じることが多いのですが、特に子育て世代の方々にとって有益だろうと思われる、子どもが生活する環境などへの言及の多い書籍を中心に例を挙げると、
1. 遊びが学びに欠かせないわけ ピーター・グレイ
2. 虫眼とアニ眼 養老孟子・宮崎駿
3. 気はやさしくて力持ち 内田樹・三砂ちづる
4. 育てたように子は育つ 佐々木正美
5. 子どもは罰から学ばない ポール・ディックス
6. こどもを野に放て 養老孟子・中村桂子・池澤夏樹・春山慶彦
などの本が最近様々なインスパイアを与えてくれました。新しい本だけではありませんが、ご興味あれば一見の価値ありの本だと思います。
さて、このブログのタイトルにもなっている「こどもを野に放て」というのはその中の本のタイトルからです。この本の中には、いくつも考えさせられる箇所があるので共有させていただきたいと思います。本の構成は4名の方の対談記事で構成されており、今回その中心となっているのが春山慶彦氏です。彼は、“YAMAP”という、スマホの電波が届かないところでも現在地と登山ルートが分かるアプリを開発した方です。
本のタイトルこそこどもを野に放て、と言いながら、どちらかというと現代を生きるすべての人に向けて書かれているような内容です。
P14(春山)
人間はもちろん生きもので、身体の構造はパソコンやスマホを使うためではなく、本来自然の中で生き抜くために作られています。
(略)
知識を先行させるのではなく、自らの身体で体験することからはじめないと、人は本質に気づきにくいですし、生きていることの喜びを実感しにくいのではないでしょうか。だから、自然の中で身体を動かすことや、その中で、自分たちのいのちが自然や地球とつながっているということをリアルに体感することが大事だと思います。その意味で、登山やアウトドアは現代社会において必要なアクティビティだと考えています。
P15(養老)
おっしゃる通りですね。現代社会は、感覚から入るものを軽視しがちで、勉強すれば何でも頭に入ると思っています。
P72(春山)
難しく聞こえるかもしれませんが、要は、何を見、何を感じるかが知性の原点だということです。豊かで優れた知覚能力(感覚・感性)がなければ、知性的な思考や行動もない。
この知性、特に、知覚を磨く最適な場所が自然であり、「外」です。環境が激変している時代に、人間が人間からしか学んでいないのはリスクでしかない。教室という場所には人間しかいません。単一種しか存在しない「箱」です。それは、生態系から見たとき、ある意味で異常な空間です。
P177(池澤)
文明は利便性をもたらしましたが、ただそれだけのことです。幸福でもなんでもない。しかし、これは一種の依存症で、止まることがない。
人が人であるためには、本来人が獲得しておくべき知覚を磨く必要があるものの、都市に住む人たちにとっては、そういった環境に身を置くことが非常に難しい。それでも難しいで終わらせずに、どうすれば少しでも(休日だけでも)そういう環境に身を置けるかに親として奮闘することで、自分たちが経験したことのある自然の中での体験を自分の子どもたちにも提供することができます。テーマパークで遊ぶことを否定はしませんが(私は長い待ち時間が非常に苦手なので行きませんが)“何もない自然の中”が、“何とでも遊べる”ことに気が付き、何かにつけて子どもの要求に負けて見せてしまうiPadの充電を気にしたりすることなく、ただクタクタになるまで駆けずり回るような休日の過ごし方が、子どもたちにとってきっと本当に大切なのだと感じます。
梅雨前のこの時期、暑すぎない夏の前のこの時期、過ごしやすい自然の中に飛び込んでいきませんか。