遊びの匠

2019.04.30
虫と巨人!

暖かくなると子ども達が目を輝かす”あるもの”があけぼのの園庭に現れます。

それはダンゴムシなどの虫達です。冬の間、土の中でじっと春を待って、暖かくなって飛び出すと巨人(幼児)に追い回されて捕らえられる。中々の人生ですね。しかし、これがあけぼので生まれる虫達の運命であると同時にそこにはとても大きく大切な意味があるのです。

今回は子ども達と虫について書いてみたいと思います。

今の時期、子ども達はハンターのように園庭の端にある丸太や植木鉢をのけて虫を探します(丸太は園長やかわかっちゃんが意図的に隅に置き、腐らせ、虫が住み着くように環境を整えています)。

Mちゃんはこの体勢で10分近く右手でダンゴムシを取って、左手に持ち替える事を繰り返しています。すごい集中力ですね!

いったいぎゅっと握られた左手には何匹のダンゴムシがいるのかな~!?

Rくんは最近はダンゴムシ探しに夢中です。自分で見つけた小さい赤ちゃんダンゴムシ。スコップに乗せてじっと動きを観察します。

そして次は手でひっぱったり、丸めたり、転がしたり、少々赤ちゃんダンゴムシには刺激が強い?スキンシップ。

すると「うごかへんで?たくみせんせいだんごむしかたまった!」とせっかく見つけたダンゴムシが動かなくなってしまい、とても残念がっています(ダンゴムシがどうなったのかはご想像にお任せします)。その後は「かわいそうだったね、お墓にいれようね」と土に埋めました。

さて、この様に多くの子ども達は虫との関わりが大好きです。そして、その関わり方は一見乱暴に見えたり「命なんだから大切にしなさい!」と言いたくなる関わりも多いです。

しかし、幼児期の子ども達にとって”命”を完全に理解することは少々難しいタスクといえます。個人差もありますが年長児でも言葉では「命なくなったら戻ってこうへんで!」とは言うものの本当の意味での”命”を理解しているとは中々いえません。虫など動く物でこの程度の認識なので植物の命になるとさらに難しくなる事は想像できますね。

話を戻して、なぜRくんのように幼児期に虫と関わる事が大切なのでしょう。

まずどんな命であれ重みは一緒という事を大前提として、例えば、園にいるウサギやアヒルが乱暴されて死んでしまうと幼児の心に大きな衝撃が残るでしょう。ですので、この写真のようにある程度の制限をかけざる得ないのです。

一方で、みなさんも小さい時にありをふんずけたり、ちょうちょの羽を破ってみたり、かまきりに生きたバッタを食べさしたり(ぼくだけだったらすいません)した経験があるように、虫という存在は子ども達にとって唯一自主的、主体的な関わりが許される”命”なのでは無いかと私は考えています。Rくんにとっても主体的にかかわった結果、虫が動かなくなったのです。この様に主体的に関わる時、幼児にとっては”自分自身の行動”と”虫の命”を同時に考えるきっかけになります。もちろん、年少のこの時期の子どもには難しいですが、この様な関わりが積み重なり年中、年長(あひるとうさぎの飼育も行い)、そして小学校以降、少しずつ”命”について学ぶのです。

これからの時期(GWで自然に触れ合うとさらに)「捕まえた虫を飼いたい!」という声から多くの家庭、クラスで虫などの飼育が行われていくことでしょう。これは犬でも金魚でもどんな生き物の飼育にも言えますが、餌をあげたり、土を変えたりと大人が丁寧に虫の飼育に携わる姿こそ子どもにとっての何よりの”命”を学ぶ教材になると言えるでしょう。

さらに、飼育を通して「おなかすいてるかな?」「水いるかな?」と”相手の気持ちを考える力”すなわち”思いやる心”も育まれます。この様に虫(生き物)から学ぶものは本当に大きいですね。

ほったらかして、ひからびて、子どもが見てないうちに捨てるなんてことがあればそれは虫の命を無駄にしていることになります。お世話していても死は訪れます。死んでしまったら、一緒に土に埋めてあげる事ができればその飼育は成功であり、子どもにとっての学びにつながるのではないでしょうか。

ぜひ皆さんも子どもと一緒に虫を飼育してみてください。

それではよいGWをお過ごしください!虫さんもGWぐらいゆっくりしてください!

 

 

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会