遊びの匠

2020.03.03
メインディッシュを奪うなんて

11カ月間積み上げてきたからこそ味わえるこの感覚。保護者の皆さまにとっても先生にとっても、子ども達にとっても育ちを噛み締め、共に喜び合い、日々の子育て、日々の保育を互いに振り返り、子どもの姿を見て、「4月からやってきたことは決して間違っていなかったですね」と互いを労わりあえる至福の時間。それが3月。

そんな時間が一瞬にして奪われる。
誰に悔しさや怒りをぶつけたらいいのか。
お仕事があることや、子どもの気持ちも、もちろん理解しています。だけど、得体の知れないウイルス相手では中々的が絞れない。それが本音です。責任逃れをするわけではないけど、大勢が集まる場所を提供して、もし最悪の事態が起こったら、場を提供した者に責任があるのか、それともそこに行かせた人に責任があるのか、はたまたウイルスに責任があるのか。全く的の絞れない議論になってしまう。だから「まだ(もう)大丈夫だよね!?」そんなあさはかな判断は決してできないこの状況において、休園することは苦渋の決断でした。子どもにとってあけぼので過ごす日々の大切さや、先生や友達に会いたい気持ちは痛いほどわかる。いつまでも、どこまでも“子ども中心”を掲げるあけぼのでも、時には“大人中心”で子どもの命、健康、未来を守る必要性がある。それが今回の決断に至った理由でしょう。

休園が決まった時の先生達の涙。子どもの育ちに本気だったから、他人事じゃないから。本当は保育に悩んで、笑って、泣いてってみんなで最後を迎えたかったんです。
今年で最後の年になる、年長の子ども達や保護者にとっても胸が張り裂けるほどの思いがあると思います。そして、あけぼの生活最後を飾る卒園式。その為に毎日必死に準備を進めてくださった保護者の会含め、保護者の皆様にとっても本当に辛い時期になってしまいました。
でも、まだまだ職員一同「絶対に開催できる」と信じ、アイディアを出し合い、あけぼの生活最後に相応しい式を行える準備を進めています。もしかしたら“いつもと一緒”じゃないかもしれない。でも、確実に子どもの心に残る式を作り上げる約束をします。


その為にどうかこの2週間の休園期間、「私は大丈夫」という姿勢ではなく、まずは自分達が何をできるのか?を考えて頂きたいと思います。
健康だから笑えるし、悩めるし、文句だって言える。
今はウイルスの一刻も早い収束を願うしかありません。
頼むからメインディッシュを奪わないで。

子どもにとっても、保護者にとっても、先生達にとっても、最高のフィナーレが迎えられることを祈るしかありません。
大人中心で終わらさないで。最後は子ども中心で終わらせてください。

もしこの出来事に意味があるなら「子どもとの日々がこれほど尊いし、感謝に値する」と、知れたことでしょうか。
本当にどうかどうか、どうか安全な日々よ戻って下さい。子どもの笑顔が戻りますように・・・

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学校法人あけぼの学園/社会福祉法人あけぼの事業福祉会